エコポイント、エコカー補助金、エコカー減税

エコポイントが液晶テレビ等対象製品の売り上げを期間中爆発的に押し上げた後、需要が一巡した頃にはピーク時に対応した生産ラインや量販店の売り上げの激減を引き起こすなど、その功罪はどちらが大きかったのかという検証は未だ具体的な記事や論文など目にした覚えがありません。

然し、相次いで発表される弱電専業メーカーの厳しい業績や、昨今の家電量販店の統合ニュースなどは確実にそうした一時的需要喚起カンフル剤の負の効果が幾ばくかは働いていると感じるのは僕だけでは無い筈です。

さて、今月以降でエコカー補助金制度は予算消化次第終わりを告げるようですが、エコカー減税は引き続き暫くの間続けられるようです。結果、燃費の良いクルマのシェアーが高まり省燃費社会の実現に資することは諸手を挙げて賛成なのですが、数年後かに訪れるかもしれない(家電量販店業界と同様の)業界再編といった事象は本当にメーカーにとって、そしてユーザー或いは消費者にとって良いことなのかどうかは、冷静な分析と判断が必要な気がします。

日本という国の産業はアメリカと比較した場合、全部が全部とは言いませんが1業種あるいは1産業に多くの競合企業が犇めき技術競争やコスト競争にしのぎを削るという図式が多く見受けられる印象があります。たとえば、先述の家電量販店にしてもアメリカでは2000年以前でもBESTBUYとCIRCUIT CITYだけの寡占状態、さらに後者はchapter11となり実質リアルの家電量販専業小売店はBESTBUYだけです。

日本では関東各都県にルーツを持つ家電量販店が犇めきあい、ようやく栃木のコジマがビックと資本提携という「ある種」の統合が起きたに過ぎません。自動車メーカーにしてもあれだけのクルマ社会のアメリカが基本ビッグスリーに集約されているのに対して、日本には数え方にもよりますが8社程度は存在していて正に群雄割拠の状態です。

若しかしたら、エコカー減税が満期を迎えた暁には、ハイブリッドシステムや高効率のエンジン開発を単体で投資できなくなったメーカーの大再編劇が待っているのではと考えるのも、寧ろ自然なことではないか?と考えてしまいます。

さて、そうした各業界の再編・統合はある程度規模のメリットを活かせる可能性があるので、各種コストの節約となり消費者にとって価格の低減をもたらすかもしれない一方で、あまり集約が進むと寡占化が進み健全な競争を阻害して価格の上昇をもたらす虞もあります。

そして提供される製品種類も減少し選択の余地を狭める結果をもたらすかもしれません。また、新たに参入したい業者からすると既存のプレーヤーが巨大な資本力を有しているために、参入するリスク・コストは今よりも高まることもあり得るでしょう。かつて、本多宗一郎氏がが自動車産業の再編統合を図ろうとした通産省に噛みついたなどというベンチャースピリッツを育む方向とは逆行するかも知れません。

そうしたことに想いを巡らせながら、今回のエコポイント、エコカー補助金、エコカー減税の功罪を改めて考えたとき、その行政の源が旧通産省、いまの経済産業省であることに着目すると、これは表向きはエコ行政の一環でありながら、中長期の行政戦略としては「業界再編を俯瞰した施策」という深謀遠慮が隠れているのではなどと穿った気持ちも芽生えてくるこの頃なのでした。

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